ちょうど六週間。
寝ても覚めても歩き続けた。総歩行距離は1200キロを超え、流した汗と涙は四万十川を氾濫させ、食べたうどんは万里を超えた。
今日、僕は満願出来ないと思ってた。
でも、大滝寺の道でアブに追いかけられ、昼食予定のうどん屋は休み、挙げ句、宿泊予定の旅館は空きなし。進めと云うことか。足は軽く、35キロを7時間と少しで歩く。
諦めてはいけない。前に進むんだ。最後にそう教えられたように感じた。
この徒歩の旅はあと二日、一番札所霊山寺まで続くけど、ようやく人生遍路のスタート地点に立った気がする。
欺瞞や偽善、嘘にエゴ。どれ程それが他人を傷つけ、自分を苦しめたか。僕は僧侶ではないので十善戒を貫くことは出来ないけれど、もう少し自分に正直に、自分を誤魔化さずにこれから進もうと思う。
百八の寺院で願い、誓ったこと。何もお大師さまや薬師如来が僕を救ってくれるわけじゃない。大事なのはハートなんだ。涅槃の道場からずっと考えてきたことです。
ココロは視点を変え、行動を変え、結果を変える。ほんの少しの不可抗力は佛心に委ねよう。
これからの僕も人を傷つけ、悲しませるかもしれない。そして、自分も傷つき、諦めることがあるかもしれない。そんなとき、この旅を思い出すだろう。どんなに辛くても諦めず前に進むんだ。人生は辛く悲しいものかもしれない。
でもよりよく生きる道しるべのヒントがこの短い旅にはあったと思う。
本当の旅は限りなく長い。終りのないトンネルはないし、降りやまない雨はない。
それは僕自身がよくわかっているはずだ。だから今の僕がいる。
そして、明日からも僕は歩き続けるだろう…。


